「遠心分離」とは?
遠心分離は全国でも数十社しか用いていない遠心分離機を使った最新の絞り方です。
遠心分離機では、容器に入った醪を高速で回転させることによって、酒粕とお酒を分離します。
酒袋から搾られるお酒は時間や加圧の違いにより酒質に違いが生まれますが、遠心分離機では同じ条件で全量が分離されるため、酒質が均一に仕上がります。
完全に密閉された空間で絞られるので、日本酒の酸化を防ぎつつ、香り成分の揮発も抑えられます。
圧搾機を使用して絞られる日本酒量は醪のおよそ70~80%と多いですが、強い圧力をかけて搾る分雑味が混じることがあります。
外から圧力をかけない袋吊りでは繊細な味わいの日本酒が搾れますが、回収される日本酒は醪のおよそ35~40%と少なくなってしまいます。
遠心分離機を使用した場合、回収できる日本酒は醪のおよそ50~60%と、高い品質を保ちつつ袋吊りよりも多くの日本酒を搾ることができます。
さらに遠心分離機では全自動で醪が送り込まれるため、醪の袋詰めなどの作業を省略でき、蔵人の負担を大きく軽減することができます。
また、遠心分離機はオールステンレス製であり、酒袋や布を使用しないため、袋のにおいなどが移ることもありません。
しかし、遠心分離機の価格は約2000万円と非常に高価です。
一度に絞れる量もおよそ400Lと決して多くなく、効率はそれほどよくありません。
また、遠心分離機で分離された酒粕は糊状になるため、洗浄作業が大変といったデメリットも存在します。