「吟醸造り」とは?
国税庁の吟醸造りの定義に、
「吟醸造りとは、吟味して醸造することをいい、伝統的に、よりよく精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、かすの割合を高くして、特有な芳香(吟香)を有するように醸造することをいいます。」とあります。
しかし、どのくらいの低温でどのくらいの時間発酵させるのか、またどの酵母を使うのかなどの具体的なルールはありません。
各蔵元の基準で吟味して醸造されたものが吟醸造りとなります。そのため、蔵元ごとに定義は異なります。
吟醸造りのお酒の風味と香りってどんな感じ?
吟醸造りのお酒は他の日本酒と比べて香りが大きなポイントになります。
より香りが特徴となるように造られた吟醸系のお酒のことを「ハナ吟醸」と呼びます。
華やかな香りとさっぱりした味わいが特徴です。また、吟醸系のお酒の中でも、香りは控えめながら濃醇な味わいを持つものを「味吟醸」と呼ぶこともあります。
吟醸造りのお酒のおいしい飲み方を教えます!きっと吟醸造りのお酒が好きになります!
10℃前後の冷酒の場合香りが落ち着き、スッキリとした味わいが楽しめます。
20℃前後の冷やでは香り・味わいが滑らかでお酒本来の味わいが楽しめます。
40℃前後のぬる燗の場合は、日本酒の持つ豊かな香味を感じ取れます。
一般的に吟醸造りのお酒は、冷やしたものか常温のものが最もおいしく頂ける温度帯とされています。
フルーティーな香りをしっかりと楽しめるよう、冷やし過ぎや温め過ぎに気を付けましょう。
華やかな香りとサッパリとした味わいが特徴のハナ吟醸タイプは冷やして食前酒でいただくのがオススメです。
また、香りは控えめながら濃醇な味わいを持つ味吟醸タイプのお酒は料理との相性がよく、食事をより楽しむことが出来るため、食中酒におすすめです。
吟醸造りのお酒の賞味期限はいつまで?知らないと美味しく飲めません!
吟醸造りのお酒に賞味期限はありません。理由として、比較的度数の高いアルコールが含まれていることが挙げられます。
アルコールの殺菌作用により、未開封の状態であれば腐敗のおそれがほとんどありません。そのため、食品表示法により賞味期限の表示が免除されています。
ラベルに表示された日付は『製造年月』になります。賞味期限の代わりに製造年月の表示が義務付けられているためです。
この製造年月とはお酒が絞られた日付を示すのではなく、濾過や火入れなどの工程ののち、パック詰めや瓶詰めされた日付を指しています。
吟醸造りのお酒の保管はどうしたらいいの?正しい保管方法はこちら!
吟醸造りのお酒の場合、開栓前であれば製造年月から10カ月程度までそれほど味わいの変化のない状態で楽しめます。
吟醸造りのお酒は紫外線や温度変化に弱いため、日光や照明に当たらない涼しい場所に保管してください。新聞紙で瓶をくるんであげるのがおすすめです。冷蔵庫で保管する場合、庫内の照明を落としてあげるとより効果的です。
開栓後も同様に冷暗所で保存します。開栓後のお酒は酸化が進むため、香りや味わいに変化なく楽しめる期間は開栓から約3日ほどです。少なくとも1週間程度で飲みきるのが望ましいです。
火入れ(低温加熱殺菌)をしていない生酒の場合は開栓前/開栓後に限らずできるだけ早めに飲み切ってください。
また、開栓前/開栓後に限らず酒瓶を寝かせてしまうと、お酒が空気に触れる面積が大きくなってしまうほか、容器のキャップが痛む可能性もあるので、酒瓶は立てて保存してください。
吟醸造りには歴史があります ズバリ解説します
江戸時代あたりから「吟造」という言葉が使われています。明治時代になると、「吟醸」という言葉が使われ始めたようです。各地の酒造家が品評会の入賞を目指していくにあたって、酒造の技術を高めていく過程で普及していったと考えられています
昭和初期になると、竪型精米機(たてがたせいまいき)が登場します。これにより精米技術が飛躍的に向上、玄米を外側から40%~50%削り取る高度な精米が可能となりました(精米歩合60%~50%)。この精米機の普及は早く、3、4年のうちにほとんどの酒造場に導入されました。
のちの研究によって、吟醸酒の特徴である香りの生成を、米の表層部分に多い脂肪が妨げることが分かっています。
高度な精米が可能になると、研究や技術開発に取り組むメーカーも徐々に増えていくにともなって、吟醸酒の品質もどんどん向上していきましたが、造られるお酒はごく少量、品評会用のものばかりで販売はほとんどされませんでした。
その後は戦争による米の流通の制限などもあり、一時は吟醸造りの中断を余儀なくされますが、華やかな芳香を出す酵母の頒布などにより、吟醸系のお酒は徐々に市場に出回るようになりました。吟醸酒ブームなども手伝って、日本酒の消費低迷期にも吟醸系の日本酒は消費を伸ばしていきました。
現在では、日本酒の品質向上に向けての試行錯誤が重ねられた結果、吟醸系のお酒の品質は過去最高の水準に達しています。
世界市場においても日本酒は評価されており、輸出額量は年々倍増しています。普通酒を作る日本酒醸造所は世界に数多く存在していますが、日本の水や技術でしか造れない吟醸系のお酒の注目度は高く、アメリカやフランスをはじめとした世界各国で主に食前酒として親しまれています。
吟醸造りの日本酒ってどんな銘柄があるの?オススメを紹介します!
越後鶴亀 越王 純米大吟醸
兵庫特A地区で栽培された山田錦を用いました。香り重視ではなく味を追求した純米大吟醸です。繊細なタッチ、やわらかな甘味と、瑞々しい酸。当蔵最高峰のお酒です。
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苗場山 純米大吟醸
麹米・掛け米ともに高精白の新潟県産「越淡麗」を 100%使用し、約1年間0℃で低温貯蔵熟成させた杜氏自慢の 自信作です。
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久保田 紅寿
辛味と酸味が調和し、やさしい口当たり・ほのかな甘味の中にドライさを感じる純米吟醸酒。
若いバナナや青リンゴのような清涼感のある香りが抜けていきます。
しっかりとした味付けの料理と合い、「久保田」ならではのキレが食欲を刺激します。
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越の初梅 伊乎乃
魚沼米で有名な魚沼地域を総称した地名を古人(いにしえびと)は伊乎乃(いおの)と呼ぶ。
38%まで磨き上げ醸した大吟醸は一滴の中に「香り・味わい」お米のロマンが凝縮されています。
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霧の塔 大吟醸酒
落ち着いた香りと、ふくらみのある味わい。香味の調和を追求した吟醸造りの逸品。
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真野鶴 辛口吟醸
新潟の淡麗酒。そんな言葉がしっくりくる吟醸酒。
まずは柔らかい吟醸香がふわり立ち昇ります。
口に含むとすっきりとした、けれどもふわり花のようなニュアンスのある辛口酒が広がります。
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越乃白雁 吟醸
原料米を50%まで精白し、低温でゆっくり醸し出した吟醸酒です。
おだやかな吟醸香、すらりとなめらかな舌ざわり、柔らかい味わいの香味バランスのとれたやや辛口酒です。
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