日本酒の火入れとは?
日本酒を火入れすると味わいは変わるの?その答えはココにあり!
日本酒の火入れとは加熱処理することで品質や味わいを安定させることです。
日本酒は酵母菌を発酵させて造られます。一番美味しくなるタイミングでお酒が搾られ貯蔵されますが、搾りたての日本酒にはまだ酵母が残っており、発酵を続けようとします。
発酵が続いてしまうと、品質が変化し、味わいも変わってしまいます。そこで、火入れといわれる加熱処理を行い酵母のはたらきを止めることで、日本酒の味わいを保つことができます。
そのため、火入れした日本酒は蔵元が想定した味わいからそれほど劣化することなく消費者の元へ届けられますが、加熱処理をしたことで搾りたてのフレッシュさは失われています。
日本酒に火入れした場合、賞味期限は伸びる?縮む?
適切に保存された開栓前の日本酒の場合に品質にそれほど変化がなく美味しく飲める期間は、火入れした日本酒は製造年月日からおおよそ1年程度ですが、火入れしていない日本酒は約3か月~半年程度です。
また、冷蔵保存された場合に開栓後に品質にそれほど変化がなく美味しく飲める期間は、火入れした日本酒が開栓から約1か月、火入れしていない日本酒は約3日~7日となります。
このことから、日本酒に火入れした場合に賞味期限が伸びると言えます。
日本酒の火入れによる「違い」はなにか?
日本酒を火入れすることにより、フレッシュさは失われます。そのため、しぼりたてのそのままの味わいを楽しみたい場合は、火入れの回数を減らした商品や、火入れを行わない商品を選びましょう。
日本酒を火入れする温度は何度?答えはこちら!
約60~65℃です。
火入れした日本酒の保存方法は?一番いい方法を教えます
純米酒の場合、開栓前であれば製造年月から1年程度までそれほど味わいの変化のない状態で楽しめます。
純米酒は紫外線や温度変化に弱いため、日光や照明に当たらない涼しい場所に保管してください。新聞紙で瓶をくるんであげるのがおすすめです。冷蔵庫で保管する場合、庫内の照明を落としてあげるとより効果的です。
開栓後も同様に冷暗所で保存します。開栓後のお酒は酸化が進みますが、吟醸酒と比べると香味の劣化スピードは遅い傾向にあります。冷蔵保存した場合、香りや味わいに変化なく楽しめる期間は開栓から2週間~1カ月ほどです。そのため、時間経過による香味の変化を楽しむこともできます。
また、開栓前/開栓後に限らず酒瓶を寝かせてしまうと、お酒が空気に触れる面積が大きくなってしまうほか、容器のキャップが痛む可能性もあるので、酒瓶は立てて保存してください。
火入れした日本酒は常温で飲む?冷やして飲む?
火入れした日本酒は幅広い温度帯で楽しむことができます。
日本酒はいつから火入れを始めたの?歴史をさかのぼると・・・
火入れの歴史は古く、日本では室町時代の文献に内容が記されています。
ヨーロッパでは1866年にルイ・パスツールが発見した加熱殺菌法をワイン造りに導入しましたが、室町時代の酒造りに携わる人々はその経験則から、ヨーロッパの300年以上前には加熱殺菌という技術を確立していました。
現在では一般的に、お酒を搾って貯蔵する直前と、お酒を瓶に詰める前の二度火入れが行われます。
昔の日本酒はほとんどがタンク貯蔵でした。安定した状態で保管できるよう、まず一度加熱します。
出荷の際にタンクから瓶詰めしていきますが、今ほど衛生環境が良くなかったため、外気に触れた際に雑菌を拾ってしまう大きなリスクがありました。そのため、瓶詰めのときも火入れをするのが一般的でした。
その流れをくみ、今でも酒質の安定のため二回火入れが行われることが多いですが、現代では衛生環境も大きく改善され、蔵の中に雑菌はほぼいなくなりました。
瓶をしっかりと密閉できるようになり、瓶貯蔵や瓶燗火入れと言われる、先に瓶詰めする手法も増えてきています。この手法では、一回の火入れで万全な状態にすることで、加熱による香りや味わいの劣化を防ぐことができるようになりました。