日本酒造りの水?

日本酒造りにおける水の役割とは?

酒造りに使われる水のことを酒造用水といいます。日本酒はお米と水でできており、そのうち80%は水です。
日本酒造りに使われる水の量は、お米の量の50倍といわれています。

日本酒に使用する水はほとんどが蔵の井戸水や湧き水ですが、私たちに身近な水道水よりも厳しい成分の基準が設けられています。
例として、鉄分の基準値は水道水が0.3ppm以下ですが、酒造用水は0.02ppm以下でなければいけません。
これは、鉄が混ざることによって日本酒は褐色に色づいてしまい、香味も悪くなってしまうためです。
また、マンガンは紫外線による日本酒の劣化を早めます。そのためマンガンの基準値は水道水が0.05ppm以下ですが、酒造用水は0.02ppm以下となっています。
さらに、日本酒に悪影響を及ぼすとされるアンモニアや亜硝酸などにも、水道水よりも厳格な基準が定められています。

水道水基準醸造用水指標
鉄 ppm0.3以下0.02以下
マンガン ppm0.05以下0.02以下
色度無色透明
臭・味異常のないこと異常のないこと
有機物 ppm5以下5以下

この他にも、水に含まれるマグネシウムやカリウム、リン酸などは微生物の栄養源となり、麹菌や酵母の増殖を助ける働きがあります。
栄養源が不足していると発酵が進まず、日本酒造りが失敗してしまう可能性があります。そのため、これらの有効成分が充分に含まれていることも、酒造用水の大切な条件の1つです。

日本酒造りに使用する水の割合はどのくらい?

日本酒造りには「仕込み水」の他にも、アルコール度数を調節するための「割水」といった日本酒の原料となるもののほか、米を洗うための「洗米水」、米に吸水させるための「浸漬水」、さらには冷却用水や用具の洗浄用水など、様々な場面で水を使います。その量は一日におよそ数万リットルにもなります。

日本酒造りに大切な「水」って、どんな場所から汲んでくるの?

日本酒造りには大量の水が必要なため、ほとんどの酒蔵は水源の近くに蔵を構えています。蔵の敷地内から地下水を汲み上げて使用することが多いです。

硬水の日本酒は、どんな味わいになるの?水で変わる日本酒の味

日本酒造りにおいて、水の硬度も味わいを左右する一因になります。
硬度とは、水に含まれるミネラル分のうち、マグネシウムとカルシウムの量を表したものです。

硬度が高い、つまりミネラル分が多い水を使うと、日本酒が発酵する際の栄養分が多いため発酵が進みます。
こうして硬水で仕込まれたお酒は、酸が強く濃厚で存在感のあるお酒になることが多いです。

軟水の日本酒は、どんな味わいになるの?水で変わる日本酒の味

硬度の低い軟水で仕込まれたお酒は、発酵の為の栄養分が少ないため、ゆっくりと発酵が進みます。麹菌や酵母をうまく増やすためには、高い技術力が必要になります。
軟水のお酒は軽やかで、口当たりの良い淡麗なお酒が多い傾向があります。

新潟の日本酒はどんな水を使用しているの?硬水?軟水?

硬度(mg/l)
0~60未満軟水
60~120未満中軟水
120~180未満硬水
180以上超硬水
WHO(世界保健機関)の基準

新潟県の酒造用水の平均硬度は約40の軟水となっています。
新潟は冬の降雪量が多く、山岳地帯などでは夏になっても残雪があるほどです。この積もった雪が次第に川や大地に溶けだし、やがては地下水となって蔵元で酒造用水として使われていきます。

Posted by 新潟の地酒